2010年3月6日放送
法話
2010/03/06
2010年03月06日放送
昨年の十一月のことです。ブラジルのサンパウロ、曹洞宗大本山別院、佛心寺、開教五十周年のお祝いの法要に参加して、その帰りにニューヨークに寄りました。なんとあの有名な五人組「スマップ」がブロードウェイに全員集合したのと、ちょうど同じ時期でした。マンハッタンで摩天楼を仰ぎ、世界同時多発テロの被害にあった、ツインタワービルの跡地で慰霊をした翌日、特急列車で私はワシントンに向かいました。アーリントン墓地でケネディ大統領のお墓参りのついでに、オバマ大統領は不在でしたがホワイトハウスの前で、私はもの凄い人に出会ったのです。
彼女ピシオットさんは、当時勤めていた領事館や国連を辞めて、一切の家財を投げ打ち核兵器廃絶の為に、三十年近くも路上生活をしながら平和運動を続けているのです。立て看板の広島・長崎の大きな被爆写真に目がとまります。それは幼い子供を抱いた悲惨な姿でした。「ベットの感触なんて私覚えていないわ。」真っ黒く日焼けた顔のシワが長い歳月を表していました。先月、ワシントンは大寒波が襲い、大雪被害のニュースが流れていました。どうしているのでしょう。「ここで死んでもいいの!地球から核爆弾がなくなるまで私座り続けるわ!」握手した手の温もりが熱く伝わってきたのを思い出します。この反核おばさんのド根性と明るい笑顔に感動と勇気を貰いました。私はこの人にこそノーベル平和賞をあげたいなと思いました。
私達はノーベル博士がダイナマイトを開発した事を悔やんで、この賞を遺言した事を決して忘れてはいけません!戦争のない世界が一日も早く訪れることを、お祈り致しましょう。
札幌市 薬王寺
田中 清元
田中 清元