2010年1月30日放送
法話
2010/01/30
2010年01月30日放送
私たちが、お仏壇にお供物や食べ物をお供えするということは、大切な供養の一つです。
二年ほど前のことですが、家の仏壇にヨーグルトが供えてありました。聞くとお客さんから子供達への頂き物、とのこと。
人様から何か頂いたら先ず仏壇にお供えするというのは昔の話なのだろうか。いや、今もそうである。そうであってほしい。
当時四才の三人兄弟の末の子が仏壇に上げたらしいそのヨーグルトの上に、お店でもらったと思われるプラスチックのスプーンも一緒に添えられていました。そのスプーンを見た時、私は『ヨーグルトを食べる時スプーンが必要だよな』と素直に思ったものです。
御飯を食べる時には箸が必要です。御霊供膳にも箸をそえてお供えします。ただ、ものを上げれば良い。少ないと見映えが悪いから「それなりに」という見栄を張ってしまいがちです。それは体裁をつくろっているに過ぎないことでもあります。
しかし、子供が添えたスプーンには「どうぞ召し上がれ」という気持が込められていました。その素直な気持、心がうれしく感じられました。ふだん私が忘れがちな心を思い出させてくれました。
「どうぞ召し上がれ。そして私達もいただきます」 その心があって、お仏壇にお供えした、お供物や食べ物が本物の供養になります。亡き人と私が一つになります。 子供の素直な行いから、大切な供養の心を頂いた出来事でした。
北見市 高雲寺
佐伯 正純
佐伯 正純